オオブログ!

答えのないことを考えるのが好きな大学院生のブログ。

素人によるM-1分析①「決勝進出3回目以降で優勝する難しさ」

アメリカに滞在しながら、M-1 2022をTverで視聴した。

 

サッカーワールドカップをAbemaで見るために、ちょうど有料のVPNを契約していたので、M-1も見ることができた。

 

海外にいながら日本のコンテンツを見過ぎてしまうともったいない気がしたので、今はVPNは解約した(笑)

 

今回のM-1の優勝はウエストランド

 

ネタ中でも井口がお笑い分析とかいらねえって言っていたが、今回はそのお笑い分析をしたいと思う。

 

ウエストランドは2回目の決勝進出で優勝した。

 

過去の優勝者の決勝出場回数を見てみると、以下の通りだ。()内は、優勝した年が何回目の決勝出場だったか。

 

2022 ウエストランド(2)

2021 錦鯉(2)

2020 マヂカルラブリー(2)

2019 ミルクボーイ(1)

2018 霜降り明星(1)

2017 とろサーモン(1)

2016 銀シャリ(3)

2015 トレンディエンジェル(1)

2010 笑い飯(9)

2009 パンクブーブー(1)

2008 NON STYLE(1)

2007 サンドウィッチマン(1)

2006 チュートリアル(3)

2005 ブラックマヨネーズ(1)

2004 アンタッチャブル(2)

2003 フットボールアワー(3)

2002 ますだおかだ(2)

2001 中川家(1)

 

これを見ると、9回目で優勝した笑い飯のような極端な例外もあるが、3回目以降の出場者が存在する2003~2022の16回のうち、3回目以降で優勝したのは4組しかない。

 

また、2010年の中断があけた新生M-1と呼ばれる2015年以降に関しては、中断前(2001-2010)も出場していた銀シャリを除き、全ての組が1回目か2回目で優勝している。

 

これによって、新生M-1がどれだけ入れ替わりが激しいかがわかるかもしれない。ちなみに、新生M-1になってから、3回以上決勝に出場していて優勝できていない組は、

 

ジャルジャル(3 ※前期含めると4)、スーパーマラドーナ(4)、和牛(5)、かまいたち(3)、オズワルド(4)、インディアンス(3)、見取り図(3)、ゆにば~す(3)など、

ゆにば~すの川瀬名人M-1以外のテレビに出ないのは置いといて、テレビでよく見るような実力者が並ぶ。

 

もちろんこれと同時に、多くの1、2回目の決勝進出者も敗北している。ただ、単純に決勝への出場回数を実力だと捉えるなら、3回目以降の進出での優勝者がもっと出てもおかしくないと思うのである。

 

さて、なぜ3回も決勝に出てこれるほどの実力を持ちながら、彼らは優勝できていないのだろうか。

もちろん、彼らの実力のことをとやかく言うわけではない。決勝に出てきている時点で全組が優勝できるポテンシャルがあると思う。

 

ただこの記事では、近年の傾向から、決勝進出回数の観点で話を進めていきたい。

 

なぜ常連組が優勝しづらく、1回目か2回目の決勝進出者から優勝者が出やすくなっているのかという点についてだ。

 

これについて、3つの要因を考えてみた。

 

1つ目は、「見たことない」の爆発力だ。

霜降り明星やミルクボーイがこれにあたる。粗品の見たことのないツッコミの仕方、ミルクボーイの見たことのない行ったり来たり漫才は、一発で彼らがその年M-1の主役になる空気を作った。

 

他の賞レースやライブも見ているコアなファンを除き、M-1しか見ない人も世の中には多い。審査員のなかにも、普段から見る人とあえて見ない人たちがいる。

 

そこで、今までに見たことのないやり方で笑いを取り、そのまま優勝をかっさらっていくパターンだ。

ぺこぱのツッコまないツッコミは確実に新しかったが、同年にミルクボーイがいたのが運の尽きだった。

 

常連組は、皆が見たことがあるやり方で決勝に何度か来ていて、逆にそれを期待されてしまうという十字架を背負っているため、この「見たことない」笑いをやるのが難しくなる。

 

2つ目は、認知による笑い

マヂカルラブリーや錦鯉、ウエストランドがこれに当たる。

2020年に優勝したマヂカルラブリーは2017年に最下位、2021年に優勝した錦鯉は2020年に4位、2022年に優勝したウエストランドは2020年に9位を取っている。

 

ほぼ無名の状態で1回目に出場し、「キャラを認知」され、1回目の反省点を修正して2回目で爆発するパターンだ。

 

野田クリスタル、長谷川、井口の3人に共通することは、変人だったり、バカだったり、偏見持ちだったりと、本人の性格ありきのネタをやっていることだ。

初見では本人たちのキャラが十分に浸透しておらず、ふざけていても誰がふざけているのかよくわからず、あまり笑えない。

 

しかし、1回目で認知されたことで、2回目でどんなキャラクターの人がふざけているのかがわかり、笑いが起きやすい。

 

その点、キャラが立っているかまいたちの山内や、和牛の水田、インディアンスの田渕などは、本当に惜しいところまで行っていたと思う。

しかし、2回目でその壁を破ることができなかった。

3回目以降は、「認知される」段階を越え、先ほどの「見たことある」の状態になってしまうというジレンマがある。

 

だから2回目まででできるだけ仕留めないといけない。

 

3つ目は、決勝進出による忙しさの増加だ。

 

何度も決勝進出していると、劇場もテレビ出演も増えてくる。劇場はネタをやると思うのでM-1にとってもいいのかもしれないが、テレビ出演が増えてくると、ネタを仕上げる時間がなくなっていく。

 

ぺこぱを例にとると、

2019年の番組出演本数は12だったのに対し、2019年末にM-1決勝に初めて出場すると、2020年は309本の番組に出たらしい。

 

とくに、最終決戦に残ると、それ関連の出演も増えるだろう。

 

その点、2つ目のところで挙げたマヂカルラブリー、錦鯉、ウエストランドの3組は、幸か不幸か、1回目の決勝進出の際に最終決戦にまで行っていない。

 

キャラだけは認知させ、忙しさはそこそこに留めるという、M-1の観点では、ちょうどいい売れ方ができたのだ。

 

以上の3点が、僕が決勝進出3回目以降で優勝するのが難しいと考える理由だ。

2023年以降、この分析通りにいくのか、それともこれを覆すコンビが現れてくるのか。

 

今後もM-1から目が離せない。いやどんだけ好きやねん。

 

ではまた。次は違う切り口から分析します。

 

参考↓

大会の歴史 | M-1グランプリ 公式サイト

M−1成績一覧

博多大吉さんが初の年間首位!ブレイクタレントはぺこぱ! ~ ニホンモニター 2020タレント番組出演本数ランキング~ | ニホンモニター株式会社